法制審議会刑事法(国連国際組織犯罪条約関係)部会 第5回会議 議事録 第1 日 時  平成14年12月18日(水)  自 午後1時35分                         至 午後3時40分 第2 場 所  法曹会館「高砂の間」 第3 議 題    いわゆる国連国際組織犯罪条約の締結に伴う罰則等の整備について 第4 議 事 (次のとおり) 議    事 ● お待たせいたしました。ただいまから,法制審議会刑事法(国連国際組織犯罪条約関係)部会の第5回目の会議を開催いたします。 ● 本日は,全委員・幹事が御出席ということであります。御多忙中にもかかわらず,御参集くださいましてありがとうございました。  前回は,要綱(骨子)の修正の要否を検討すべき事項について議論したところでありますが,本日は,これまでの議論を踏まえ,諮問に付された要綱(骨子)の修正の要否を具体的に検討し,当部会として総会に報告すべき意見を取りまとめてまいりたいと存じます。  本日の議事の進行といたしましては,○○委員から最初に条約解釈上の問題につき発言したいとの御要望が伝えられておりますので,要綱(骨子)の修正の審議に入る前に,その点の議論をしたいと思います。その上で,要綱(骨子)の修正に関する審議を進めたいと思いますが,事務当局には前回までの議論,及び前回の部会終了後に申し出のあった修正に関する御意見等を勘案し,要綱(骨子)の修正の案を作成していただいておりますので,最初にその案につきまして事務当局からの説明をお願いいたしたいと思います。  また,○○委員,○○幹事から修正の御提案があるとのことでありますので,事務当局からの説明に引き続き,その御説明をお願いしたいと存じます。  その後,それぞれの修正提案に関しまして順次質疑及び御議論をお願いいたしまして,議論が終わりました段階で,部会としての意見の取りまとめに移りたいと思います。  以上が,本日の議事進行についての私の心づもりでありますけれども,以上申し上げたようなことでよろしゅうございましょうか。−−それでは,そのように取り計らいたいと思います。  では,最初に○○委員から,条約の解釈に関する御発言があるとのことですので,どうぞ御発言ください。 ● 資料を配布させていただきたいと思ったのですが,印刷が間に合わないので申し訳ございません。後ほど配布させていただきたいと思います。  実は,この問題はもっと早くから提起すべきだったと思うのですが,私どももなかなか語学力がないものですから,十分理解ができないまま,いろいろな方面に意見を聞いたりして,ようやく考えをまとめてきたというものなので,その点御了解いただきたいと思います。  条約の第5条が,組織犯罪の共謀を処罰する一つの根拠になっているわけですが,この条約の第5条でいう犯罪は,私どもとしては第3条の適用範囲,「次の犯罪であって性質上国際的なものであり,かつ組織的な犯罪集団が関与するもの」というものがかぶるのではないかということを当初申し上げたことがあるのですが,これに関しては事務当局から,条約の34条2項の解釈によってその国際的な性質と組織的な犯罪集団が関与するということを絡ませてはいけないという義務規定があるので,無理なのだというお話をいただいていたと思います。この点を,今まで日弁連の中では国際人権委員会ですとか,組織犯罪のワーキンググループというものがあるのですが,そこなどで学者の方々の協力もいただきながら検討してみたというのがこれから申し上げたいことなのです。  34条1項というのは,「締約国は,この条約に定める義務の履行を確保するため,自国の国内法の基本原則に従って,必要な措置をとる」という形で,国内法の基本原則というものを第一に重視するという形で規定されております。これは,今回の共謀を議論するに当たっては,日本政府自体が犯罪条約の議論をするに当たっての基本姿勢として,共謀のみで処罰することは日本の刑事法の基本原則に反しているという,そういう立場を表明していたということもありますので,当然34条1項があれば,5条の国内法化のときにもそういう国内法の基本原則というものを考慮されてしかるべきというふうに考えておりました。ところが,34条2項を見ますと,これはそういう意味で義務規定というふうになると,1項と2項がそぐわないという問題が一つ出てくるわけです。そうなると,この34条2項というのは,どうも34条1項と整合性がありませんし,第3条の適用範囲,条約の適用範囲というふうにしているものとも整合性がない。これはどうしてだろうということをいろいろ調べてみたわけです。そうしますと,国連条約起草特別委員会では,34条1項というのはかなり早いときに決まっていたようですが,また適用範囲についても第8会期でほぼ固まったというふうに聞いておりますが,最終会期の第10会期に至って,フランスから,適用範囲を根本的に変える必要があるという提案がなされて,これがG77とか中国と意見が対立して,中国等は性質上国際的な問題があり,組織的な犯罪集団が関与するということをかなりきつく,はっきりと明言すべきだという立場だったようでありますが,フランス等は捜査実務の関係から,これはこういう形で規定すると,捜査段階では性質上国際的なものであるとか,非組織的な犯罪集団というのがまだ分からない段階で捜査に着手しなければいけない,そういうことになると,これを余り厳しくするのはおかしいのではないか,緩めたいという,そういう提案があったようであります。したがって,適用範囲と34条2項が絡めて議論になってきたようでありまして,そういう中でどうもこの34条2項が現在の形で決められたようだと。  そうしたときに,この34条2項,shall beとありますけれども,義務規定と読むべきかどうかということをいろいろ考えてみましたところ,この会議に参加していた警察庁の○○さんとおっしゃる方ですが,この方が「警察學論集」にこの会議のことを報告されておりまして,この第10回会期は参加者の疲労がピークに達して体力勝負の状況になったという中で,このフランスの提案があって,各国の立場を単純化すると二つあった。先ほど言いましたように,国際性と組織性を明確にすべきだという立場の国々と,フランスのようにそれほど限定してはいけない,柔軟かつ広範なアプローチでいくべきだという,こういう対立があって,最終的に今回の34条2項の形に決まったと言われている報告がありまして,この報告とこの報告の注を見ましていろいろ考えると,この34条2項をそういう形で国際的に対立する諸国が妥協した,というと変ですが,妥協した一つの条文なものですから,これを義務規定と読むべきではなくて,各国で立法化するときは,かような組織性ですとか国際性というものを外してもいいと,そういうふうに読むべきではないかというふうに私どもは考えるに至ったわけです。  そういうことで,今日できましたらその辺をはっきりさせていただきたい。そうしないと,今後今回の立法をするに当たっての根本的な問題性が出てくるのではないかというふうに考えたものですから,今日初めに議論していただきたいと思ったわけです。 ● 以上の御説明に対して,事務当局としてはどのようにお考えになるでしょうか。 ● それでは,私の方から御説明をさせていただきます。  この問題は,既にこの部会の第2回だったかと思いますが,御指摘を受けて,私の方から経緯あるいは解釈について御説明をしたところでございますので,若干重複するところがございますが,今,○○委員の方からお話がございましたので,また改めて御説明をさせていただきます。  お手元に「条約第34条第2項及びこれに関する解釈ノートの記載について」という紙をお配りしてあるかと思います。これは御覧いただくとお分かりのとおり,この国際組織犯罪条約の34条2項の規定の英文と和文,それからそれに関します解釈ノートと呼ばれるものの英文と和文−−和文はいずれも仮訳でございます−−を記載してございます。それを御覧になりながらお聞きいただければと思います。  この条約の適用範囲につきましては,条文としましては34条2項のほかに,もともと3条という規定があるわけでございますけれども,この条約を策定するに当たりまして,この適用範囲をどうするかということについて,交渉過程で種々議論があっところでございます。例えば,この条約の交渉を行っていたアド・ホック委員会という特別委員会の第7回の会合におきましては,適用範囲の犯罪について国際性,トランスナショナリティーというのでしょうか,そういったものを要件として加えるかどうかということについて,種々考え方はあったわけですが,大別すると二つの考え方があり,一つは国際組織犯罪条約であるという以上は,そういう要件を付する必要があるという国がございました。他方で,条約がそういった国際組織犯罪というものをターゲットとしているということはもちろんみんなの共通の理解ではあったわけですが,そういった犯罪を防止したり,捜査,訴追に関する国際協力を確保するというためには,それぞれの義務を定める条項について,一律に厳格な要件というものを当てはめていくというのは適当ではないのではないか,むしろそういった目的を達成するために,幅広い適用範囲を確保するという必要があるということで,むしろ適用範囲には国際性というものによる限定をすべきではないのではないかという,そういう主張をする国とがあったわけでございます。  先ほど,○○委員のお話にありました第8回会合というところでは,シンガポールから,この条約の適用範囲,3条につきまして,おおむね今の規定と同様に,別段の定めがある場合を除くほか,性質上国際的であり,かつ組織的な犯罪集団が関与する場合ということにする提案がなされたわけであります。このこと自体については,基本的に大きな異論はなかったわけですが,そこの中でも,やはり「別段の定め」という文言も入っておりまして,結局は包括的にそういうことは言えたとしても,具体的に各条項についてどういう要件を加えていくのかということについては,やはり議論は続いていたわけであります。特に条約が犯罪化を求める犯罪,共謀ですとかマネー・ローンダリング,腐敗,あるいは司法妨害といった条約が犯罪化を求める犯罪の構成要件には,国際性であるとか組織的な犯罪集団の関与というものを要件としないということを条件に,そういったシンガポールの提案を支持する国というのも少なくなかったわけであります。  こうした経緯を踏まえまして,第10回の会合におきまして,フランスの方から,条約が犯罪化を求める犯罪の規定においては,国際性及び組織性の要件を含むものと解釈してはならないという規定を加えようという提案がなされ,最終的に議論の結果,我が国も含め,各国の賛同が得られた結果,若干表現は変わりましたが,条約34条2項という形の規定が盛り込まれたという経緯でございます。  こうした経緯から見てみますと,まず34条2項が設けられましたのは,今申し上げましたように条約の適用範囲について国際性の要件を必要とするか否かということについて議論があった中で,フランスから,犯罪化の規定においては国際性の要件と組織的な犯罪集団の関与の要件を含むものと解釈してはならないという規定の提案がなされて,これが他の交渉参加国に受け入れられたという結果になったということがまず言えるわけであります。  それからもう一つは,もともとこの34条の2項の文言を御覧いただきますと,shall be established in the domestic law……independently of という形で規定がされておりまして,締約国の犯罪化の義務に対応する国内法の内容を正に明示的に義務づける規定ぶりであるということであります。こういった経過,あるいは規定の仕方ということから見ましても,この条約34条2項というのは,条約5条に関して組織的な犯罪集団が関与するという要件を付することができるほかは,その他の犯罪化を求める犯罪につきましては,各締約国の国内法において,国際的な性質であるとか,組織的な犯罪集団の関与を要件とすることが許されないということを規定したものということは明らかであろうというふうに考えているところでございます。  なお,条約の解釈ノートの関係でございますが,その資料にも記載しましたように,解釈ノートの一部には国際性及び組織的な犯罪集団の関与を要件として含める必要はないというふうな記載部分がございます。しかしながら,解釈ノートの第一文におきましては,国際性の要件と組織的な犯罪集団の関与を犯罪の要件とみなしてはならないということが明確に書かれているわけでありまして,必要がないというのは,結局条約3条1項の規定にもかかわらず,犯罪化に当たっては国際性等の要件を付する必要はないということを述べたにすぎず,条約の義務としては,先ほどの34条2項の文言からも明らかなとおり,国際性を犯罪の要件とすることが許されるという意味とは到底考えられないわけでございます。  以上,審議経過と,その34条2項の解釈についての考え方を御説明したところでございます。 ● ただいま,○○幹事の言及されました第2回会議の冒頭で,私はこの34条2項について,手元のごく貧弱な資料に基づいてでありますが,この規定は会議の最終段階で卒然と入ったように思われるという,半ば推測のようなことを申し上げたわけですが,ただいまの御説明を伺いまして,その間の経過が理解できたような気がするわけでございます。かつ,同時に,適用範囲に関する3条と,それから条約の実施に関する34条とが深くかかわり合って議論されてきたということも理解いたしました。  しかしながら,事柄の実質について考えますと,3条は適用範囲の規定であり,34条は条約の実施の規定であって,それぞれ別個の問題を独立に規定し得る性質のものであると思います。実際にはそういかなかったというお話が今あったわけでございますが,3条の方は各国それぞれ既存の刑法典をもっており,そこにたくさんの犯罪が規定されている,そのうちの重大な犯罪というようなものを選び出してきて,それにこの条約を適用する際の基準でありまして,そこに国際性,組織性が要求されるのは半ば当然のことのように思われるのであります。しかしながら,その点についても議論があって,最終的にこうなったというお話でございましたが,例えば日本刑法には詐欺罪の規定がございますけれども,詐欺罪で問題にされる案件が年間1万件あるといたしますと,そのうち実際に国際性,組織性を帯びているというものはごく一部分でしょう。100件ぐらいと仮にいたしますと,残りの9,900件は純粋に日本の国内の犯罪であって,言い換えれば国際組織犯罪条約とは無関係のものであると思います。その点を定めているのが3条であるわけです。  これに対して,34条の方は,これから新しく法律をつくるという話であります。条約に働きかけられてつくるという意味で「条約犯罪」という言葉を使うとしますと,34条に示されている条約犯罪につきまして,それをどのように立法するかということは,各国のその後の問題であります。これについて,34条2項は,普通の国内法のようにつくりなさいと,つまり国際性,組織性という要件を付加することはないという趣旨を決めたわけで,これはまたこれで十分に理解可能であろうと思います。それは,この条約犯罪の内容がマネー・ローンダリングを始め,非常に国際性の強い性質の犯罪でありますので,殊更これについていろいろな要件を付加するのはかえって適当ではないということになりましょう。ただ,5条の関係で若干の留保がありますのは,そこにやはり多少保留すべきものがあるという考えかと思います。  取りまとめますと,○○委員の方から3条と34条2項とは不整合ではないかというお話があったかと思いますけれども,私は以上のような理解をいたしますと,そこには不整合な点はないと言っていいのではないかと思う次第です。 ● 国連のこの条約の起草特別委員会の10会期で,フランスが提案したのは3条の変更ですよね。適用範囲を変更してほしいという提案が具体的になされて,当時2条というふうに聞いているのですが,それでいろいろ議論になってということまではいろいろなもので分かるのですけれども,なぜか今の条文の34条2項というのが出てきて,それでフランス側を支持した国も,G77プラス中国などの国もいいでしょうというふうになったと聞いているものですから,国内法でどのような規定をするかということは,私はあり得ると思っているのです。国際的条約でこういう組織性,越境性を帯びた犯罪の共謀について処罰せよと,こういう条約が決められたというときに,それを国内でどういう形で立法化するかというのは,これはまた議論としてあり得ると思うのですが,義務として国際性−−「越境性」と訳す人たちもいますが,その越境性と組織犯罪性を外さなければいけないというふうに解釈しなければいけないというところが,どうも私としてはなかなか理解できないということなんですね。そこはもう少しバリエーションがあるのではないかと思っているわけです。 ● これはほかの条約にも言えることでございますけれども,特にこの条約において,加盟国に一定の義務を課するということになってございますので,そうなりますと,解釈ノートに先ほど一部誤ってお読みになるかもしれないような部分があるといたしましても,条約本体においてshall beという言葉を使うのは,これは義務であることを明示する場合に使うわけでございまして,shallを使うかmayを使うかをめぐって,相当なやりとりがなされるのが一般でございますので,条約を素直に読めば読むほど,本文としては義務としか読みようがない,これを義務でないとしますと,むしろ国際的な条約の解釈としては通用しないであろうと思われますが。 ● 今のshall be established という点については,私もそういうふうに解釈されるのだろうなとは思います。ただ,先ほど○○幹事の方からお話のありました第10回における34条2項に取り込まれる原因になったのは,フランスの意見だったというふうに聞いております。この場合,フランスは自分の考えに,要するにもっと緩やかに,広くするべきだということを言っていたはずじゃないという理解をしています。私どもが理解しているのは,フランスとしては,そういう厳格な解釈をされちゃ困るといっただけなんですね,にもかかわらず厳格に解釈すべきだという一方の極の議論があるのに,それがフランスが提案した内容以上のすべてが緩やかに解釈してもいいという解釈になるというのは,どうしてもちょっと納得できないのですが。  ちょっと資料が遅れていますけれども,私の手元に龍谷大学の大学院で組織犯罪条約を自分のテーマにしているという方が日弁連に寄せていただいた論文があるのですが,この中で,「第10会期の2条に関するフランスの提案」という部分がございまして,その部分についてはちょっと条文等が変わっていますが,「本条パラ1は,3条,4条,4条terおよび17条bisにより規定される犯罪の越境的性質の要素,または4条,4条terおよび17条bisにより規定される犯罪に記述される組織犯罪集団への関与の要素を含むものと解釈すべきでない」と。要するに,そういうふうに限定されちゃ困るという意見をフランスは述べているのですね。にもかかわらず,フランスの考え方にすべて従わなければならないような形でまとめられたというのは,ちょっと交渉の経過としては理解がしにくかったので意見を申し述べたわけです。 ● 結局,条約全体といたしましては個々の実施面とかあるわけでございまして,適用という形で定められておる部分との関係で誤解をする国があるかもしれないということで,フランスの方から恐らく−−私が推測するところでございますけれども,御提案があったのだと思われます。  それを受けまして,個別の国内法措置を要求する部分におきましては解釈の余地なきものとしてこのような規定が,国内法整備に当たってはそうすべきだということで,今問題とされている表現となったと。  つまり,条約の具体的な個別のケースの実施という場面を離れて,国内法整備をお考えになったときに,国際性云々というのは確かにおかしいというのが皆さん少なくとも交渉に参加されている方々の御認識がここに集約されて,それはごもっともな話であるということでshall be establishedになったのではないかという理解もできようかと思われますが。 ● これをいつまでも議論する気はないですけれども,先ほどお配りいただいた解釈ノート,確かに第一文は○○幹事がおっしゃったような形で書いてあるのですね。第二文については,ここに仮訳をいただいたように,「犯罪化に当たり,国際性及び組織的な犯罪集団の関与を要件として含める必要はなく」という形で書いてあるので,私どもは解釈ノートというのを当初からある程度意識しておりまして,それでshall beがあったとしてもこういうふうにわざわざ解釈ノートをつくったということは,そう明確に完全な義務化というのとは違うのではないかというふうに解釈して,今までいろいろ意見を申し述べてきたのですが,解釈ノートというのはある意味でいうと条文を正確に理解するために,公式に,この条文はかように解釈するという公式的なものというふうに理解しているのですが,そうではないのですか。  これには誤解される言葉遣いがあるが,実際は本文でshall beとなっているからもうそれなんだという……。それだったら,解釈ノートは要らないというふうに思うのですね。解釈ノートを見ましても,すべての条項について解釈ノートがあるわけではありませんので,問題になった点を明確にするために解釈ノートというものがつくられたのではないかと思うのです。そうなってくると,もう少し読み方を変えることが可能なのではないかと思っているのですが,そうではないのですか。 ● 外務省から関係官がお出になっておられるので,この点についてご意見を伺えればと思います。 ● 今,○○委員の言われた解釈ノートの性質ですけれども,確かに条約本文を解釈する際の重要な公式の参考資料になると思います。ただ,本件を離れて一般的に申し上げると,その解釈の範囲というのはおのずからありまして,ある条項のある部分について,幾つか解釈し得る余地のあるときにどう解釈するかという範囲で適用されることになると思います。それを超えた形での利用というのは,いわば解釈ノートで明文の規定を覆すということは,通常はあり得ないし,またあってはならない,そういう利用の仕方になると考えております。  他方で,shall be establishedというのは,私の理解といたしましても,これは義務規定以外の何物でもない,そのように考えております。 ● 私は,この条約の制定過程について直接には承知していないのですが,この34条2項を素直に読めば,これは義務規定としか読めないのではないかと思います。一方,解釈ノートの前段と後段は,これも素直に読みますと整合性が完全にあるかどうか,若干疑問が残るところです。しかし,条約の規定自身が一義的なものですので,そのように解釈する他はないと思われます。  それから34条ですが,2項以外の34条はごく一般的な規定であって,特別な義務を課すような規定ではありません。そこに後で2項が加わったわけですが,仮にこれが34条ではなく3条に規定されたとしても解釈は同じであって,この部分は締約国に対する義務づけであると解釈せざるを得ないと思います。 ● 私,英語が非常に不得意なんですけれども,私,素直に読んで全然矛盾を感じなかったのです。なぜかといいますと,independentry という言葉の意味なんですけれども,それは無関係に決めるべきだと規定しているのじゃなくて,その問題とは別個に各国独自に決めるべきだと,だからその点には拘束されずにということで,各国ある国は不可欠の要素とし,別の国は不可欠の要素としない,それで問題点は別に決めなさいよというふうに読めて,解釈ノートの方も前段と後段,矛盾しているように思えないので,むしろ前段の訳がちょっと疑問で,英語の4行目のelementsの前に,例えば不可欠の要素と考えなければならないというふうに,不可欠のというふうな感じのニュアンスを日本語に込めて読めば,不可欠な要素とみなさなくちゃいけないのだから,要するに後段につながっていくということで,私は本文も解釈ノートも,素人で初めて見るものなんですけれども,全然矛盾しているように思えないのですが。 ● いかがでしょうか。今日はまだたくさんの議論をしなければならないのですが……。 ● 条約の解釈につきましては,起草過程に参加していない者がここで推測しても余り意味がないと思いますので,義務づけであるという事務局の御説明に一応従うしかないというふうに私は思います。  第二点は,仮に義務づけていなくて,各国が自由に選択できるという解釈をとったとしても,私は同じように日本の法益に対して侵害性のある行為を国際性のあるものに限って,越境性のあるものに限って,処罰するというのは,立法政策として妥当ではないというふうに思っております。 ● 条約と解釈ノートの関係は,先ほど御説明があったとおりだと私も考えております。それで,解釈ノートの中で,含める必要はないというのは原文ですとdo not have to include となっていますので,むしろmust not includeというニュアンスを包含しており,かなり強い禁止の意味を有し得るのではないかという感じを持つのですが,いずれにしても本文の方が優先しますから,その問題につきましてはこれを前提に議論していただきたいと思います。 ● いかがでしょうか,そもそもの本題であるこの修正案,あるいは参考案,そういうようなものについての議論という方へと進みたいと思いますけれども。  別段の御異議がなければ,事務当局から要綱(骨子)の修正の案について御説明を賜りたいと思います。 ● お手元に,要綱(骨子)で始まる三枚の文章と,新旧対照表とが綴じられたものがあると思いますので,それを御覧いただきたいと存じます。これは前回の部会におきまして,検討すべき事項として挙げられた事項に関する議論の内容と,前回の部会以後,事務当局に個別に寄せられましたこれらの事項に関する御意見を踏まえまして,部会の決定案のたたき台とするのはこのようなものでいかがかというものを,本日配布させていただいたものでございます。  実質的な修正はどこかといいますと,新旧対照表で御覧いただくのが分かりやすいと思いますが,要綱(骨子)第一の一のうち1と2の部分でございます。すなわち,原案では,組織的な犯罪の共謀の罪の法定刑について,死刑,無期,短期1年以上のものは5年以下,それ以外のものは3年以下としておりましたところを,死刑,無期又は長期10年を超える罪については5年以下,それ以外の罪,つまり4年以上10年以下の罪については2年以下,そのように修正するものでございます。  前回もお話しいたしましたので簡略に経緯を述べますが,当初の案につきましては,特に組織的営利誘拐の予備罪の法定刑が2年であるのに対して,同じ罪の共謀罪が5年になる,これはいかにも不均衡ではないかということがありまして,前回は区分を工夫いたしまして,組織的営利誘拐の共謀罪の法定刑が5年から3年になるように若干改善した案をA案・B案という形でお出ししたわけでございます。これらにつきましては,予備罪と共謀罪の法定刑に1年のずれがある,依然として3年と2年の1年のずれがあるという問題があるという御指摘があったところでございます。  そして,対象犯罪の区分の在り方の問題としては,原案を可とする意見もございましたが,刑の長期を基準に分けた方が適当だという御意見が多数であったということ,それから法定刑につき重い方は5年以下とすることでよいのではないかという意見が多かったということ,それから軽い方を3年か2年,どうするかにつきましては,特に方向性が決まらなかったこと,そのような経過を踏まえて,その部会の後に,2区分に分けて重い方は5年,軽い方は2年としたいという修正を提案したいという御意見が寄せられたということがございます。そのようなことを踏まえまして,今回お示しのような案を提出させていただいたわけでございます。  このように考えました最も大きな理由といたしましては,個別法に定められている予備罪等との均衡につきましては,個別の法律の立法政策の関係,個別と一般の関係というような考え方もできようかと,余り重視し過ぎるのはいかがかということではございましたが,同じ組織犯罪対策の観点からつけられている組織要件がかかっておって,しかも犯罪の実行の着手の前の予備と共謀という同性質の犯罪,このようなものにつきまして法定刑の均衡はどうかということになりますと,特に合理的な理由がなければ,同じ法定刑にしておくのが一番妥当なのであろうというふうに考えたところでございます。そうしますと,予備罪の方を3年に上げるか,あるいは共謀罪の方を2年にするかの選択になりますが,その点につきまして前回は,身代金誘拐の予備罪とも合わせて3年に上げたらどうかという御提案につきましては,消極的な御意見が多かったといういきさつも踏まえますと,組織的共謀罪の軽い方の法定刑を2年にするのもやむを得ない成り行きなのかなと考えたところでございます。  なお,組織犯罪対策の観点から問題になりそうな,我が国の国内での発生件数も多そうな犯罪として,例えばけん銃とか覚せい剤の所持とか譲渡の罪の取扱いがどうなるかということをちょっと検討してみますと,それらの単純な所持とか譲渡は10年以下の懲役が定められておりますので,軽い方のグループに入ってしまう。それは,ややもすると取締り上は不都合と感じる向きもあろうかと思いますが,しかしこの共謀罪につきましては,組織要件がかかっております。そこで,どういうことかといいますと,例えばけん銃所持につきましても,適合実砲とともに持っているような場合には加重所持罪ということで上限は有期になっておりますし,また薬物につきましても,譲渡罪等,営利目的があればこれはまた同じく法定刑の上は有期まで上がるということで,そのような組織犯罪で特に問題になるようなものにつきましては,重いグループに依然残っておるということも考慮いたしまして,この5年と2年という案もやむを得ないのかなと,全体的なことを考察するときには,このような落ち着きというのがいいのではないかなと考えるに至ったわけでございます。  もとより,個別の法分野におきまして,立法政策上特に取締りの必要からより重い共謀罪,予備罪を設けるとか,あるいは組織要件を外したそういう犯罪類型を設けるというのは別途可能なわけでございまして,一般的に重大な犯罪についての組織的共謀罪を設けるに当たった法定刑の水準ということは,5年と2年という区分でいかがかということで御提案を差し上げたところでございます。  なお,実質的な修正ではございませんが,審議の経過で,団体とか団体の活動とか,そういう用語の意義は組織犯罪処罰法とはどういう関係なのですかという御質問も出てきたようなこともございまして,要綱(骨子)というものは国民に広く公開されるものでございますから,なるべく誤解がないようにという趣旨で,用語の意味につきまして注意書きを要綱(骨子)の最後に付することにしてはいかがかということでございます。すなわち,組織犯罪処罰法におきまして,定義規定として,あるいは本文中の括弧書きで,団体の活動とは例えば団体の意思決定に基づく行為であって,その効果又はそれによる利益が当該団体に帰属するものを言うとか,非常に細かく,厳格な内容が規定されております。つまり,この要綱(骨子)で言う,例えば組織的共謀罪における組織要件というものはどういうことかということにつきましては,非常に厳格な内容の定義がされておる,処罰法上と同じ意味で用いられておる,そのような厳格な要件がかかった共謀罪であるという趣旨がより明確になるだろうということも考慮いたしまして,このような注意書きをつけることにしてはいかがかという御提案でございます。 ● ただいまの御説明に関連した質疑があろうかと思いますけれども,それは次に○○委員,○○幹事からの修正提案,その御説明を伺って,あわせて質疑という段取りにしたいと思いますのでよろしくお願いいたします。 ● ただいまお手元に配布させていただきました,私と○○幹事の名前での修正案というふうになっておりますが,前回,討論の素材というもので出したものとほぼ同じなのですが,要綱(骨子)の第一の一についてですが,これは先ほどいろいろ議論していただきましたが,条約に書かれたものをできる限り生かそうという趣旨でありまして,それが一つです。  それからもう一つは,共謀というものを共謀共同正犯の共謀と同じ意味だというふうにするよりも,もう少し具体的な合意という形にした方がよいだろうということ,これらの観点から条文をつくってみたというものです。趣旨はそういうことですので,その点を含めて御議論,後ほどいただけたらと思います。  一つは,国際条約に書かれている目的条項を入れるということで,「金銭的利益その他の物質的利益を」云々と書いてありますので,それを今回は「金銭その他の不正な利益を図る目的で」という形で一つ入れたということです。それから,「共謀」という言葉を「共同して謀議した」という形に変えたらどうかと。それと,条約にあります「当該合意を促進する行為を伴い」ということをどのようにするかということで考えたのが,その次の文章でありまして,「その謀議に関与した者のうち一人又は二人以上のものが当該行為の遂行のためにする行為を行った場合には」と,非常に長い文章になって,これがよく練られた文章かと言われると,文章そのものには随分長いなという意見も日弁連の中でも出たりしたものなのですが,こういう形でやってみたらどうかというふうに思ったわけです。  この点については,実はフランス刑法というのを,私は余り知らないのですが,前の組織犯罪の立法化に当たって議論したときに,事務当局より配布していただいたフランス刑法132の71条というものの仮訳をいただいておりまして,そこには「一又は数個の客観的事実に特徴づけられる共謀」という訳がありまして,私どもの方でフランス語がある程度分かる弁護士の協力をいただいて,この同じフランス語のところを聞いたところ,次のようにも訳せるということですね。「あるいは相互協定であって,一又は数個の有形的事実によって明白化しているもの」,同じようなものですが。それとか,「一又は数個の客観的事実に特徴づけられる」という,合意内容がそういう形で規定されているということも分かりましたので,そういったことを含めて日本での立法化をするに当たってもそのような工夫をしたらどうかということで,今回そういう文言を入れさせていただいたということであります。これが第一です。  第一の二については,不正権益云々という,これは国内の暴力団同士の縄張りだけではありませんが,そういう暴力団が持っている不正権益争いをも抑えるという目的で立法化されたと理解しているのですが,このことは条約上要求されていないということでありますので,今回は立法を見送ったらどうかというのが第一番目の一,二に関する提案であります。  第二は,これも条約でやっている司法妨害という形での立法化を図ったらどうかということで,なかなか私どもとしてうまくつかめないのがこの「報酬として」ということで,ここのあたりは少し議論になるのかなというふうに思うのですが,こういう形よりも司法妨害的なものとして条約が規定しているのであれば,そういう形で立法化するというふうにすべきではないかと。  もう一つのポイントは,金銭等の利益の問題ですが,条約では「不当な利益」となっていると思いますので,それを「金銭その他不正な利益」という形で,その点が加わっているということになっております。これが第二の一についてということです。  第二の二は,先ほどのものと同じで,ここの点までは要求されていないということで規定しないということがよろしいのではないか。  第三は,犯罪収益規制の問題ですが,これは前提犯罪については別表方式をとるべきだというのが修正案であります。それで,今日配布はしていないのですが,前に配布しました事務当局に作成していただいていた重大な犯罪に該当する罰則一覧というものの横の方にバツ等つけてあるものを配布しておりますが,バツをつけていないものを別表に載せたらどうかという提案になるわけですが,具体的な犯罪の何を載せるかということについては,もし別表方式をとるとしたら議論をしていただきたいということで,提案としては別表方式をとるという形にしたらいかがかという提案ということになります。 ● それでは,初めに事務当局から御説明のあった共謀罪の法定刑に関する事項及び注を付記するかどうかという点について議論をし,その次に○○委員,○○幹事から提案され,○○委員が御説明になりました修正事項について,要綱(骨子)第一,第二,第三という具合に区切りまして,順次質疑及び議論を進めたいと思います。どなたからでも結構でございますので,御発言ください。  必要があれば,議論の順序が前後したりすることがあろうと思いますけれども,一応お話ししたような順序でお願いしたいと思います。  それから,あわせて本日は部会としての意見の集約をいたしたいと存じますので,各委員には,その御意見を適宜明らかにし,賛否についての態度決定をも含む御発言をしていただきたいと存じます。どうぞ活発に御議論いただきたいと思います。 ● 教えていただきたいのですが。  短期1年以上から長期10年を超えるというふうになって,どのぐらいの犯罪が変わるのですか。 ● 前回配布いたしました資料の中で,短期1年以上で長期10年以下のものが全部今回の案では10年以下の軽い方の部類に行くわけですね。そこが一番大きな違いになります。 ● そうですね,私もちょっと見させていただいたのですけれども,短期1年以上だと,短期1年から10年以下というのがかなりあるようなふうに見たのですが,10年を超えるというふうになると,それらが入らないということになるので,相当数の罪が,第一の一の2の方へ移るということになると。かなり軽くした,と言うと変ですけれども,そういう趣旨になるということでよろしいのでしょうか。 ● おっしゃるとおりでございます。10年を超えるものとは長期が有期懲役のものということですが,実際上は有期懲役のものというのは必ず1年以上の短期がついておりますので,重い方から軽い方に移る方だけの変化が生ずるというふうに御理解いただければいいと思います。 ● 前回,私は引き上げる方でそろえるという御提案をしたわけですが,今回,御苦労くださって,第一の一の1及び2に相当手を加えて,最終的には営利目的の誘拐の組織的な犯罪についての組織犯罪処罰法6条1項2号の罪との均衡ということを御考慮の上でこのような判断をされたことには,全面的に賛成であります。  それから,注記もこれは要綱としては確かに必要性が高いものと思いまして,この注記をすることにも賛成でございます。 ● 私は,いろいろな場合があり得るので,そういう意味ではきめ細かくするということで,前回あったB案も大変魅力的だというふうに思っておりましたけれども,15年はどうするかとか,いろいろカテゴリーを決める上で問題がないわけではないということで,そういう意味で二つに分けるというのがいいのではないかと。更に,それじゃその二つに分ける上で3年か2年かということがございましたけれども,もともと共謀罪というのは軽罪から出発したということがありますので,私は3年に上げて統一するというのもございますけれども,むしろ2年で統一する方がいいというふうに思いますので,そういう意味でこの修正案に賛成でございます。  それから,定義につきましては,これは言わずもがなだなという感じもいたしますけれども,イギリスの検察及び刑事訴訟法等,いろいろなところで定義づけをきちんとしているというところも,そういう法令は珍しくありませんので,それを注記するということについても賛成でございます。 ● これが法律になった場合に,実際に適用するというお立場で,何か御意見がありましたら積極的に御発言ください。 ● そういう観点から申させていただきますと,組織的な営利目的誘拐のあの規定というのは,やはり実務の上で非常に障害になると思いますね。そういう意味ではやはり下限を2年とするというのは相当であるとともに,長期10年を超えるということでも従前のものよりもかなり絞りがかかってくるということで,実務上はどういう形でこの点が争われるかというと,10年を超える事件に当たるかどうかというような観点からの実際の争い方になると思うのですね。しかし,そういう争い方があったとしても,当該事案がそれに当たるかどうかという認定問題でありますので,そういう意味で1の方の10年を超えるということは,実際には短期もかなり規定されているということですので,実務の上では少なくとも円滑な訴訟運営には資することになるのではないかということで,私としては賛成申し上げたいと思いますとともに,注の方も,まあ骨子ですから,立法形式がどういう形になるかはともかくとして,もし組対法に入るならば,性質上当然のものとはなるのでしょうが,骨子としても明確にしておくならば,それはそれでいいと思います。 ● いかがでございましょうか,段取りとしましては次に用語と思っていたのですが,もう用語の問題にも入りましたので,それをも加えてどうぞ,本日当局から出た修正案,特に法定刑に関連する点について,訴追側ではどういうふうにお考えになりますか。 ● 二つに区分し直すと,区分の仕方を今回のようにするいうことは,これでよろしいかと思うのですが,率直に申し上げまして下の方の法定刑を2年ということなのですけれども,3年にしていただけるといいなというふうに感じます。  それはどうしてかといいますと,団体性とか組織性の要件,これは非常に重くかかっておりますので,実際に捜査に当たろうとする捜査機関としては,こういう重たい縛りがかかっている中で,いろいろ捜査したけれども重くても2年以下ということになると,なかなか元気が出ないといいますか,そんな現場の士気の問題を考えますと,3年にしていただいて,ほかの関連するものも3年に引き上げるということを,私としては希望いたします。 ● ほかに御発言,いかがでございましょうか。 ● 一点だけ追加させていただきますと,この共謀罪,下限の方を3年として,ほかのもとおっしゃいましたそのほかのものの中身でございますが,恐らく予備等であろうかと思われるのですが,予備罪一般の法定刑そのものは今回の諮問の中に含まれておりませんので,その点お含みいただければと思っております。 ● 今回直ちにということではないにいたしましても,例えば出入国管理法の中で,営利目的による集団密航者を入国等させる罪というのがございますが,これは1年以上10年以下ということになっておりますね。現在は,準備というのがあって2年以下となっているわけですけれども,このあたりの犯罪も組織的に行われる可能性の非常に高い犯罪で,正に共謀罪などが活用されるべき分野かと思うのですが,こういった部分についても,将来の問題としては,整合性のある形に直していただけないかなという趣旨でございます。 ● ほかに,御意見,御発言の御希望はありませんか。  それでは,○○委員,○○幹事の御提案に係る修正案のうち,要綱(骨子)第一に係る部分,共謀罪の部分につきまして質疑を承りたいと思います。 ● この修正案を拝見いたしますと,裁判規範という観点から見たときに,この条文を解釈するに当たってどういうふうな解釈の方向になるだろうかと,こう見てみますと,特に力を入れられたという「共同して謀議した者」と,こういう文章にして,あえて「共謀」という言葉を外してあるということですね。したがって,解釈の方向としては恐らく共同して一緒に話し合って謀議ということで,従前の共謀概念,いわゆる裁判例からも確立されていると思われるような共謀概念,少なくとも練馬事件でいうような共同意思のもとに一体として互いに他人の行為を利用して各自の意思を実行に移すということを内容とすると,これは練馬事件が典型的な例ですが,そのような一体としてとか他人の行為を利用してという概念をあえて外したと理解せざるを得ないということになるわけで,こうなるとむしろ条文をつくった立法意思というか,そういう意図に反して,この文章ないしはこの条文の解釈としては,そのような共謀概念から一部外したものとして理解する解釈に到達するのではないか,そうなると,むしろ共謀よりも緩やかなものとしてこれは解釈するという方向で,我々の解釈としてはそういうことになる。そうなると,むしろ逆の方向に働くのではないかというのが一点。  それから,不正な利益を図る目的でということですけれども,このままだと個人的な受益等も不正な利益ということになり,団体の権益と考えずに,参加することによって個人が利益を,自分のみの利益を考えるものも,これも包含する形になるので,やはりそうなるとそのような解釈というのも意図に反することにならざるを得ないというような幾つかの点が指摘できます。  のみならず,遂行のためにする行為を行った場合と,このように条約上の規定の関係のただし書の前の方の部分,「その参加者の一人による当該行為を促進する行為」,これは前にも出ましたように,これはやはり証拠から見てどうかということの問題がかなり大きく左右して,そしてこの点では「又は」の方でこちらの方は団体の組織性というか,そのものを持ってというのがもともとの事務局の案だったわけで,そうするとこの「遂行のためにする行為を行った」というこの解釈が,実行行為以前のところでとどまっていなければいけないわけですので,どういう場合かというのが非常に難しくなって,裁判する上でも非常に不明確な構成要件になって,絞りをかけたかのごとく見えながら,実質的にはそれほどの価値は持たないものではないかということで,この修正案を前提としての裁判の解釈の上では,非常に困難を来すという,そういう意見を私は持っておりますので,御参考までに。 ● ○○委員,○○幹事の修正案の中で,不正権益絡みの共謀というのが抜け落ちておるように思われるのでございますが,例えば組織犯罪ということで,日本の暴力団みたいなものをまず想定いたしましたときに,ある意味不正権益関係の犯罪,その共謀というのは何か典型的な組織犯罪形態の一つのように思われるのですが,これをもし外しておられるとしたら,外された理由はどの辺にございますでしょうか。 ● ほかの点についても何か御発言がおありでしたならば,御遠慮なくどうぞ。 ● 共謀罪の新設について,できるだけこれを絞り込んでいきたいという○○委員のお考えはよく分かりますし,先ほど○○委員も,本来の意図が実現されているのかどうかという角度から疑問を出されまして,共謀罪という新しい犯罪類型について慎重にというのは,恐らく皆さん共通のお気持ちではないかと思います。ただ,提案されている修正案のうちで,オーバート・アクトを入れたいというお考えの部分についてだけ疑問を述べますと,先ほどフランス刑法の御紹介もありましたけれども,もともとこのオーバート・アクトというのは英米法系に極めて顕著に,特徴的なものでありまして,条約にそういうことが出てくるというのも,やはりイギリス,アメリカのことを意識した規定ぶりだろうと思いますけれども,条約の5条3項では,自国の国内法により合意を促進する行為を必要とする場合には,それを事務総長に通報するようにという規定が含まれているようであります。しかし,日本の国内の基本的な法制として,こういうオーバート・アクトの要件というようなものがあると主張すれば,やはり外国の関係者はむしろ奇異の感を抱くのではないか,自国の基本的な法原則というお話も頻繁に引用されるわけでありますけれども,この点,オーバート・アクトを持ち出すことにはやはり無理があるように思います。 ● ほかにいかがでございましょうか。  先ほど,○○委員の御発言の中に,もう既に第二の点にもお触れになったと思いますが,第二の「証人等買収」に関する部分でも,あるいは第三の犯罪収益の前提犯罪についての点でも,どうぞ積極的に御発言ください。 ● 要綱(骨子)の第二の方の修正も議題に供されたということで,ちょっと考えていることを申し上げますと,○○委員,○○幹事の提出された案というのは,基本的に条約の文言を大切にして構成していこうということで,それはとてもよく分かる基本的な発想だろうと思うわけでございますけれども,証人買収の関係で,「証言若しくは証拠の提出を妨害する」という部分をどのように日本法化するかというのは,私どもも立案過程で非常に苦労したところでありますが,例えば罰則つきとか,そういう強制のある証拠の提出命令の制度を持っている国でありますと,これを妨害する目的というのが非常に分かりやすく,また範囲も明確に区切れるのですが,我が国の場合には,どうも証拠というのは捜査機関が実力で持っていく,あるいは任意に提出すると,捜査機関経由で裁判所に出ていくというような流れになっておりますので,そういう我が国の刑事訴訟制度を踏まえた条約の趣旨の要件化という観点でいった場合に,当初の要綱(骨子)のような形になってきてわけであります。  すなわち,この条約の趣旨というのは,要するに刑事裁判が事実に基づいて厳正に行われるべきである,その判断資料とか判断主体を外的な妨害でゆがめないようにしようというのが基本的にこの条約23条の発想だろうと思うわけでございます。そのような判断資料に対する外的な妨害の排除,それは暴行・脅迫であってもいけないし買収であってもいけないという観点から,我が国の裁判制度をもとに考えていきますと,これは証拠提出妨害の中身というのは証拠の隠滅でありますとか,証拠の偽・変造,あるいは偽・変造証拠の使用という形になっていくと思われます。そういう意味ではそこも明確化しなければならないところを,証拠の提出を妨害するということで果たして読めるかというと,非常に読みにくい,むしろ読めないと考えられやすいのではないかということから,そこを条約の趣旨を明確化する意味で,要綱(骨子)のような形で書いたということが一点ございます。  他方,このように証拠の提出を妨害するという形で,茫漠とした形で書きますと,例えば調査機関に証拠を任意に出さないでくれと頼んで金を渡したような場合もすべて入ってくるということになろうか思いますが,このような行為は,任意の提出というのは訴訟法上の義務とまでは言えない,任意の範囲でありましょうということでございます。すると,そのようなものについてまで金銭を供与して妨害することを犯罪化するということはやや行き過ぎではないかという疑問があるということと,もう一点,妨害するために利益を供与するということになりますと,当該例えば証拠を直接持っているとか,証人になり得る者以外の,第三者的協力者に対する報酬の提供と依頼もすべて入ってしまいまして,ちょっと条約の趣旨から横にかなり範囲が広がってしまうのじゃないかと思われます。やはり供与の相手方は証人になり得る,あるいは証拠の提出者になり得る者であろうという観点から私どもの案はつくられた,そのような考えでございます。 ● いかがでしょうか,○○委員,あるいは○○幹事の方から,誤解だと,こっちの案の方がいいのだというような御主張がありましたら,是非お聞かせください。 ● 一言だけ。実は,目的規定をどこに入れるかという議論が我々の中でもありまして,それをあえて前回と同じように,「団体の活動として」云々の後につけたのですが,その冒頭につけるべきじゃないかという議論もあったのです。「団体の活動として」というのがそこにありますので,少なくとも先ほど金銭その他の不正な利益を図る目的というのは,個人的な利益を図る目的という形の解釈にはならないのではないか,団体の活動として図る目的というふうに読まれるのではないかというふうに私どもは考えております。その点だけ申し添えておきます。 ● 今の点では,以前にもそういう議論をさせていただいた点でもございますけれども,今回,金銭その他の不正な利益ということで,いわゆる財産上の利益を中心とした理解,この文言をそのまま読むとそうなろうかと思われるのでございますが,ところがその条約として含めようとしているところはかなり広範で,日本法上適当な概念がないようなものであることも一方では事実でございます。  それともう一つは,先ほどもほかの委員から御意見ございましたけれども,仮にこういう物質的利益目的が認められない場合があるとしたといたしまして,その行為の法益侵害の危険性が高く,犯罪行為の事前抑止の必要性でございますとか,当罰性等,あるいは法益を保護するという観点から,国内立法の在り方と見ましたときには,こういった要件をあえて付す必要があるのかというのも当然ではないかというふうに思われます。  それともう一つ,先ほど御質問させていただいたところでもございますけれども,ある意味,典型例の一つである不正権益,これが「不正権益」という言葉が「広辞苑」等で日常用語の不正権益でございますといろいろ誤解があるかもしれませんが,組対法にいっております不正権益と申しますのは正に暴力団の縄張り絡みの話でございまして,こういったものが入らないというのも,また日本の法制上も,あるいは実質論から申しましてもいかがなものかなという感じを持っております。 ● 一つは質問ですけれども,共同して謀議したものというのは,共謀より狭くしたいという御趣旨なんだと思いますけれども,それは順次共謀とか,そういうようなことまでも外すというような御趣旨なんでしょうか。  それから,もう一つは意見ですけれども,オーバート・アクトについて,○○関係官のおっしゃったことの域を出ないのですけれども,アメリカの場合にはオーバート・アクトを用意していますけれども,しかしそれは,証明の度合いが弱くていいということがありますし,それから使える証拠も伝聞証拠も使っていい,更には薬物事犯の場合とか,あるいは独禁法の価格操作のような場合には,オーバート・アクトの証明さえも要らないということが判例によって出されておりますので,やはり相当背景事情が違うということが言えます。日本は,かなりいろいろな面で精密な事実認定をされますので,そういう意味では相当事情が違うので,そういうような背景が違うという前提のもとでオーバート・アクトを入れるというのは,かなり無理があるのではないかという印象を持っております。 ● どうも理解されないので致し方ないのですが,私どもは共謀というこういう規定を新設すること自体に賛成していないのですね。そもそも,今回のような形で共謀罪を一挙に広げるのがいいかという疑問がありまして,できる限り実行行為に引き寄せる形で規定すべきではないか,条約上共謀罪を新設しろということを義務づけられたとした場合に,日本としてどうするか,それはもう共謀だけでは処罰しないという一般原則を,どう国際条約の義務化の中で立法化していくか,ここを考えなければいけないというふうに思うのです。  そういうふうに見ますと,オーバート・アクトがどうかということではなくて,それ以上に我々は日本の刑法の原則からして実行行為にできる限り近付ける。とはいっても,実行行為やったとかやらないとかいうことをいっているわけではないのですが,ただし予備という概念をすべて共謀に含ませて,予備が必要だというのも,そういうふうになればまたこれは条約の要請とは違ってくるだろうと。そういうことを考えると,英米法のオーバート・アクトがどうかということではなくて,日本の場合に共謀というものに,単なる意思の合意だけでない何かプラスの材料,予備まではいかなくても−−予備をした場合でももちろん含まれる場合が,予備罪がなければ入ると思いますが,そういうものプラスしていく立法ができないものかということで考えたのが今回の案で,文章がうまくないとか,こんなのでは裁判できないじゃないかというのはそうかもしれないのですが,考えていただきたいのは,そういう法制審議会として刑事法部会として議論をして立法化しようというときに,できる限りそういうものが何かできないかというのを考えるのは,私は当然じゃないかというふうに思ってこういう提案をしたのです。  共同して謀議するというのも,順次共謀もあり得るとは思っています。それは「共同して」という解釈論に将来なると思うのですがね。ただそこで言いたいのは,共同してという,確かに先ほど共謀で練馬事件等の判例のあれが出ましたけれども,実際我々が実務でやっていると共謀というのはかなり緩やかな解釈が実際は行われても,それはしかし一方で実行しているという行為があるからやむを得ないかなというときも,現場では争っているときもあったりするのですが,今回のものはそういう実行行為がないだけで処罰される謀議だよということで,「共同」という言葉を入れたということなのですね。だから,この言葉遣いがいい,悪いという議論はあるとは思うのですが,こういう発想で立法化すること自体も間違いだと,日本に合わないのだということでございますなら,またそれは一つの議論だと思うのですが,私はこういうことは一つの我々として考えるべきことではないかということで御提案させていただいた,そういうことです。 ● 御趣旨はよく分かるのですけれども,こちらも単なる心の中にある状態を罰するというのもおかしいと思うのですね。ですから,それが何らかの形で推進されるということが必要だというふうには思うのですけれども。それがアメリカで言うようなオーバート・アクトまで必要とするかどうかというと,また別の問題じゃないか,そう申し上げているだけでございます。 ● ○○委員のお話をお聞きして,不安になってきたのですけれども。  今までの前提の理解として,この組織要件の立証といいますか,そういう非常にハードルの高いものでなかなかこの立証は難しいし,またこれだけのことをやればかなり当罰性は高いというイメージで考えてきたのですけれども,お伺いしたいのは,この組織要件の立証はそんな簡単なものなのでしょうか。 ● 私は処罰する側でないので,ちょっとそれは無理な御質問です。 ● 現行法で言いますところの組対法における組織的ということになってまいりますと,厳しいと申しますか,相当程度絞り込まれた要件と考えていただいた方がよろしいのではないでしょうか。ここまでの要件がかぶってまいりますと,従前の実際の適用例ということで出ておるものも幾つか事例として概要を御紹介させていただいておりますように,相当ハードルの高いものであるということは間違いございません。 ● それでは,ここで15分ほど休憩を入れさせていただいて,法制審議会に答申をするということでありますので,どうしても採決というようなことになるわけですが,その採決の前にこれだけは言っておきたいというようなことがおありでしたら,休憩中におまとめいただければ幸いであります。  では,休憩にしたいと思います。            (休     憩) ● それでは再開をさせていただきます。  ○○,○○案で第三についてまだ御発言がないようでありますけれども,前回お出しくださったのと大体同じ提案ということで,特に御発言がないようでありましたならば,部会としての意見の集約をする前に,是非ともこれだけは言っておきたいというような御発言の御要求がございましたならば,その御意見を伺いたいと存じます。 ● 今日お出しした修正案という形の私どもが特に強調したいのは,第一の一のものと第三の一の別表方式と,この二つが重点でありまして,ほかの点はそれほど最後まで固執してどうというものではないのですが,今日御意見がなければ仕方がないのですが,第三を別表方式にするというのは,そんなにだめなことなのかというような……。  見ますとね,やはりこの前から議論になっていて,どうしても組織的な犯罪として問題にして,あるいはマネー・ローンダリングとして問題にしなければいけないというものでないものはあると,それは裁判になれば,あるいは具体的な事件が発生すればおのずと除外されるのだというお話もあったのですが,私どもは逆に言うと,おのずと除外されるようなものは最初から載せない方がいいのではないかと思ったものですから,おのずと載せないようなものを載せないように,別表にしたらどうかという意見なんですが,余りよろしくないということなのでしょうか。 ● 少し補足的に御説明させていただきたいのですが。  組織的犯罪処罰法の2条の2項において「財産上の不正な利益を得る目的で」という要件がかかっておるわけでございますが,これは条約上は特に要求されていない要件でありまして,条約の義務をさらに一つ絞った要件になっておるということなのですが,組織犯罪の場合には組織の拡大,維持のために不正な利益を追求して次々に様々な犯罪が行われるだろうと,そういうことの裏腹の問題として,財産上の利益を得る目的で行ったものを対象にするというのは,その条約の許容する中で非常にぎりぎりとしたいい絞りになっているのではないかと思っていることが一点。  あとは任意的没収・追徴の話でございまして,ここは裁判所の良識ある判断に委ねておくというのが刑法の基本的な発想からも一連のもので,これ,特に不都合が生じておるということで,裁判所の裁量を縛るべきであるというようなことでもあれはもちろん別でございますが,改正刑法草案のときの議論等も踏まえましても,裁判所の健全な判断に委ねるのが適当ではないかという議論がなされておったというようなこともございます。  もう一つ,犯罪収益は収受・隠匿の罪の犯罪化の対象となるという意味でも,また一つ別の慎重な考慮が必要なところだとは思いますけれども,これにつきましては,収受罪とか成立するためには,犯罪収益性の認識が必要であるということになっておりますので,故意に隠匿・収受等するということの当罰性も十分に担保されておるでありましょう。また,取引安全の配慮の観点でも,処罰法の11条でしたか,一定の債務の履行等の場合には処罰対象から除外されるような安全装置も設けられておりまして,そのような弊害除去というか,慎重な仕組みができております。そこで,ふだん組織犯罪が犯罪収益のためにやるとは,余りそういうことはないだろうなと思われる罪でありましても,仮にそういうものが行われた場合には,必要な組織犯罪対策として使えるし,そうじゃない場合には必ず要件的に除かれることになっているという現行法の枠組みを利用するのが,総合的に見てベストじゃないかと私どもは考えているところでございます。 ● ほかに何か御意見ございませんでしょうか。 ● 先ほど申し上げたことと重複してしまうのですけれども,国際性に関して,採決されるのであれば採決する前にですけれども,条約の義務かどうかを離れて,立法の妥当性という点から考えても,○○委員,○○幹事の御提案の中にも国際性という要件は入っておりませんので,国際性は含めるべきではないというのがこの部会での合意であったということを,後々疑義を残さないために確認いただくのがいいのではないかと思います。  あるいは,もし国際性を要求すべきであるけれども,立法として要求すべきなんだけれども,条約の義務からそうすることはできない,嫌々ながら国際性は入れないという御意見がもしあれば,伺うという形でもいいのかと思いますけれども。 ● 実は,修正案をつくるときに,国際性や組織性を要件にするというような議論もありました。冒頭に議論いただいたのは,やはりその問題をとりあえず議論した上で,それでもやはり条約に縛られるならば,そこには触れずにとりあえず修正案を出そうという趣旨でございます。したがって,私たちの条約の解釈がもし正しければ,この修正案には国際性あるいは組織性が加わった犯罪が限定列挙されるのじゃないかというふうに考えております。 ● それでは,部会としての意見を取りまとめたいと存じます。  諮問第58号は,国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約(仮称)の締結に伴う立法措置に関し,要綱のように法整備をすることにつき意見を求めるものでありましたが,諮問に付された要綱(骨子)を一部修正した上で,そのように法整備をすることが相当である旨,答申すべきであるとする修正案が事務当局から,更に○○委員から提出されたところであります。  修正の御提案の内容にかんがみまして,最初に○○委員ほか御提案の修正案についてお諮りし,ついで事務当局から示されました修正についてお諮りしたいと存じます。  ○○委員ほか御提案の修正案は,その内容が多岐にわたりますが,一括して御意見を伺ってよろしいでしょうか。それとも,要綱(骨子)の項目ごとに区分して御意見を賜った方がよろしいでしょうか。この点,いかがでございますか。 ● 私どもは,一括してで結構です。 ● ほかの委員,それでよろしゅうございますか。  それでは,○○委員,○○幹事御提案の修正案につき,一括してお諮りいたします。  諮問に係る要綱(骨子)につき,○○委員,○○幹事の御提案に係る修正案のとおり修正し,これを部会の意見とすることに賛成の委員の挙手をお願いいたします。            (賛 成 者 挙 手) ● 御反対の委員の挙手を求めます。            (反 対 者 挙 手) ● どうもありがとうございました。  それでは,事務当局から採決の結果を報告してください。 ● ただいまの採決の結果を御報告いたします。  賛成1名,反対13名でございました。  なお,ただいまの御出席の委員数は,部会長を含めまして15名でございます。 ● ただいま御報告ありましたとおり,○○委員,○○幹事御提案の修正提案につきましては,賛成少数で否決されました。  次に,事務当局から示されました修正案につきお諮りいたします。  採決の方法としては,最も厳密に運ぶとするならば,まず事務当局につくっていただいた修正案の部分についてだけ採決し,これが可決されれば修正に係る部分を除く要綱につきまして採決をし,これが否決されれば要綱の原案について採決する,その場合も,要綱の項目ごとに採決するか,ある程度まとめて,又は全体を一括して採決するということになろうかと思います。もし御了承いただけるならば,最も簡便な方法として修正案のように修正された後の要綱について一括して採決するというやり方がございます。採決のの方法について,御意見がございましたらどうぞ御発言ください。 ● 一括して採決でよろしいかと思いますが。 ● ただいまの御発言どおりでよろしゅうございますか。  それでは,事務局作成の修正提案の御議論では特に異論もありませんでしたから,簡便な方法として修正案のように修正された要綱の全体を一括してお諮りすることといたしたいと存じます。  それでは,諮問に係る要綱(骨子)の全体を,本日,事務当局から示された案のように改めた上で,つまり共謀罪の法定刑の区分の仕方と法定刑を改めるとともに,語句の意義についての注を付した上でということでありますけれども,これを諮問事項に対する部会の意見とすることに賛成の委員の挙手をお願いいたします。            (賛 成 者 挙 手) ● 次に,反対の委員の挙手をお願いいたします。            (反 対 者 挙 手) ● 採決の結果を事務当局から報告願います。 ● ただいまの採決の結果を御報告いたします。  賛成13名,反対1名でございました。  なお,出席の委員数は,部会長を含めまして15名でございます。 ● ただいま御報告がありましたとおり,事務当局作成の修正案のように修正された要綱(骨子)につきまして賛成多数で可決されました。  以上ですべての修正提案の採決を終わり,諮問第58号につきましては,要綱(骨子)を本日事務当局から示された修正案のように修正した上で,これを部会の意見として総会に報告することに決しました。  この決定につきましては,部会長から総会に報告をいたします。  部会長報告につきましては,慣例としては部会長に一任願っておりますが,今回もその慣例に従ってよろしゅうございましょうか。            (「異議なし」と呼ぶ者あり) ● それでは,本日予定しておりました議事はすべて終了いたしました。時間がまだ少々ございますので,この際,特に発言しておきたいということがございます委員・幹事の方がいらっしゃいましたならば,どうぞ発言をお願いいたします。−−よろしいですか。  それでは,事務当局のごあいさつをお願いいたします。 ● それでは,事務当局から一言ごあいさつを申し上げさせていただきます。  まず,委員・幹事の皆様方には,大変御多忙中にもかかわりませず,今回の諮問につきまして御熱心な御審議をいただきまして誠にありがとうございました。また部会長には,議事の進行,意見の取りまとめに格段の御努力をいただきまして,誠にありがとうございました。  本部会の冒頭にも申し上げましたとおり,近年のグローバリゼーションの進展に伴う犯罪活動の国際化等の情勢にかんがみますと,本条約を早期に締結し,国際的社会全体の協力体制の強化に取り組むことは,極めて重要でございます。  また,近年の我が国内外におきます犯罪の国際化,組織化の情勢に適切に対処するとの観点からも,本条約の締結に伴う法整備は急務と考えられます。  そこで,今後のスケジュールでございますが,本日の部会で御決定いただきました諮問第58号の関係は,法制審議会の総会に部会長から御報告をいただき,速やかに答申をちょうだいしました上で,法案の立案作業を進め,次期通常国会に関連の法律案を提出したいというふうに考えております。法制審議会の総会の時期は,司法法制部におきまして検討調整中でございますが,委員・幹事の皆様には,今後とも相変わらずの御支援,御協力をお願いいたします。どうもありがとうございました。 ● 一言部会長としてごあいさつをさせていただきます。  委員・幹事の皆様には,御多忙のところをこの諮問に関する事項について非常に熱心に討議をしてくださり,大変実り多い会議だったと思います。  私が初めてこういう刑事法の改正に関係を持ちましたのは昭和40年のことでありますので,37年前になりましょうか,法制審議会の委員として定年があるかどうか分かりませんけれども,今回で私はこういう仕事から身を引くことになりました。  今から思い出しますと,○○さん,○○さん,○○さんという裁判所からの方もいらっしゃいましたけれども,そういう方々と初めて昔の刑事局の参事官室で,亡くなった○○先生とか,お元気な○○先生とか,そういう方々と夕刻後も親しく議論するというような,楽しい思い出もありました。こういう法制審議会の仕事というのは,事務当局,特に裏方を務めてくださる方々に非常にお世話になるというのは,そのころからつぶさに見ておったわけであります。もう少し長く生きると思いますけれども,いずれにしても大変思い出深い審議が最後にまとめられたということをうれしく思うと同時に,皆さんの御協力に心から感謝いたします。どうぞお元気で。 ● 事務当局から連絡をさせていただきたいと存じます。  連絡その他いろいろ不手際がございましたが,皆様の御協力によりましてつつがなく部会を終えることができましたことに,事務担当者として感謝申し上げます。  なお,本日,席上に条約署名国の資料というものを配布してあったわけでございますが,総会のときにつくりましたのが8月末現在の署名国数であったのに対して,その後三か月余りで署名国が3,締約国が8増え,現在の締約国がこれで28になりました。40か国の締約で発効いたしますが,今年一年間で22か国新たに締約しておりますので,このペースでいきますと,そう遠くない時期に発効する可能性もあるということで,この資料を追加させていただきました。以上でございます。 ● それでは,以上を持ちまして本日の会議を散会させていただきます。御協力,どうもありがとうございました。